食欲、睡眠欲、性欲は人間の3大欲求と言われ、これは中学生でも理解できる一般的な知識です。この3つは、人間が生きていく上で必要不可欠な原始的な本能であるため、このように呼ばれます。皆さんは、食事や睡眠、そしてセックスが自分にとってどれほど重要なものと認識し、日常生活を送っているでしょうか。
多くの人は、食べることや寝ることが重要だと考えるかもしれません。それは、「食べなければ死んでしまうから食事が大事」とか、「眠らなければ死ぬから睡眠が大事」という考え方です。確かにこれは正しい理由ですが、「死なないようにすること」が主な動機であれば、性欲に関しては「別にセックスをしなくても死ぬことはない」という結論になります。これはちょっと寂しい考え方ではないでしょうか。
そこで、もう一度考えてみましょう。なぜ人はセックスをするのでしょうか?と問われると、多くの人が「子孫を残すため」や「子供を増やすため」といった、学校で習う保健体育的な答えを思い浮かべることでしょう。もちろん、これらの理由も決して間違ってはいません。
一方で、動物同士の交尾を私たちは「セックス」とは呼びません。セックスを行うのは人間だけです。両者の最大の違いは、人間のセックスには快感が伴うという点です。それだけではなく、愛、癒し、潤いなど、人間が持つ様々な心地よい豊かな感覚が重なり合い、人々を幸せに導くものです。
本来、幸せをもたらすものであるはずのセックスですが、問題は現代人のセックスが幸福感とはかけ離れた行為になっていることです。人間らしい豊かな生活を送るためには、例えば、食事を「生きるために必要なもの」という動物的な本能から一歩距離を置く姿勢が重要です。なぜなら、人間らしさとは、生まれたときから備わっているものではなく、知識や経験の蓄積によって自分で育てていくものだからです。私たちの食事は、味だけでなく、五感をフル活用することで、その美味しさが何倍にも増すのです。
なぜ動物的なセックスになってしまうのか?それを払拭すためのスローセックスの考え方について、今回は考えてみたいと思います。
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